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実名報道の是非

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現在、京都アニメーション放火事件をきっかけに

実名報道の是非が問われています。

 

私は大学で4年間ジャーナリズムを勉強してきました。

実名報道の歴史や意味について考えたいと思います。

 

実名報道の歴史

 

日本において、新聞社やテレビなどの主要な報道機関は原則として実名報道をすることになっています。

1958年に少年法の扱いの方針が定められ、未成年の実名報道は一部例外を除いて見られなくなりました。

時代が進むにつれ、

徐々に被害者及び加害者の人権問題が注目されるようになってきました。

これまでに、日本国政府、マスメディアによって

実名報道に関する議論は多く行われてきましたが、

現在においても実名報道を原則とする方針に変わりはありません。

 

 

実名報道する理由

報道の真実性を高める

 

実名を報道することで、

視聴者や読者に対して、報道への信ぴょう性を持たせることができます。

信ぴょう性というのは、情報があればあるほど高まりますから、

実名だけではなく写真や経歴、近しい人物からの評判など

集め得る限りの情報を報道します。

ワイドショーなどでは、それらの情報をもとに議論が行われ、

一般市民の我々の考えにも大きな影響を与えます。

 

 

伝わりやすい

 

実名報道とそれに伴う人物像の報道は、

より事件の重みや凄惨さを伝えることができます。

また、加害者の人となりや生い立ちを報道することで

再発防止であったり、事件の抑止に役立つ可能性があります。

 

 

話題性が上がる

 

実名報道を皮切りに公開される様々な情報は、

我々にも影響を与えます。

家族間での会話にとどまらず、SNSや掲示板で自分の意見を発信する者。

独自にメディアでは公開されないような情報を集めたがる者

情報を欲しがるのはメディアだけではありません。

 

 

 

実名報道するデメリット

えん罪の可能性

 

事件の容疑者である時点で実名報道されてしまうと、えん罪であった場合に本人やその家族に大きな影響を与えることになります。

SNSが普及する現代では、一度世に出てしまったことをなかったことにするのは不可能です。

写真や経歴、兄弟の名前までインターネットにさらされる可能性もあります。

 

被害者、加害者家族への影響

 

被害者家族は、ただでさえ悲しみや悔しさに耐えている状況でありますから、

実名報道されて家に記者たちが押し寄せることや

勝手に過去の出来事や写真などが世の中に出回ってしまうことへのストレスは計り知れないものになります。

加害者家族においても、好奇心で何度引っ越し、転職を繰り返しても居場所を特定しようとする人や、

無関係な加害者の子供にまで、その矛先を向けます。

実際に、重大な事件を起こした家族が自ら命を絶ってしまうというケースもあります。

 

 

なぜ今実名報道が見直されているのか

 

一番は京都アニメーションの事件です。

京都アニメーション放火事件では、35人の尊い命が奪われました。

遺族の方々は本当につらい思いをされていることでしょう。

遺族のなかには、名前を報道しないでほしいと訴えた方もいました。

 

しかし、現在実名を発表するかしないかを決めるのは警察署の判断となっており、

遺族の方々の願いは叶わず、被害者全員の名前が公表されました。

 

また、座間市の連続殺人事件においても、

被害者全員の名前と写真がテレビで公開されたことに違和感を覚える人少なくありませんでした。

 

 

実名報道に意味はあるのか

 

メリットとして、事件の重大さが伝わるから、と記載しましたが、

私としては、被害者の方々の名前やお顔を知らなくても

十分に事件の凄惨さが伝わっていると感じます。

再発防止や抑止力となる事件の背景や原因は、

実名がなくても報道できます。

 

遺族がやめてと言っているのに公表することが正しいことなのか。

それは皆さまで考えていただきたいのですが、

私は反対です。

 

しかし、大学で講義を受けていて

未成年であっても、重大な事件を起こしたものは実名報道すべき

という意見も多く聞きました。

 

私も未成年であっても、人の命を奪ったり、誰かを傷つけるのは許すことのできるものではないと思います。

しかし、ただ普通に生きている加害者のご家族もいることを忘れないでいてほしいんです。

たとえどんな家庭環境であったとしても

加害者本人以外は無関係であることをわかってほしいです。

 

 

実名報道はなくなるのか

 

メディアの長い歴史の中で、いわば当たり前となっていた実名報道を見直すことは非常に難しいと思います。

 

しかし、

幼稚園に高い柵が設けられたり

結婚式では写真を撮っても良いかどうかの同意を求められたり

卒業アルバムに住所を掲載しなかったり

 

時代とともにプライバシーの問題は変化してきました。

 

実名報道の在り方も、見直される局面にきている考えます。